ニキビ跡の種類と治療方法
ニキビ跡とは?原因とメカニズム
ニキビ跡とは、ニキビが治まったあとの肌が陥没したり茶色いシミになってしまっている状態のことです。
以下では、陥没したニキビ跡と茶色いシミのニキビ跡、それぞれの原因について説明します。
肌の表面が凹んでクレーター(アクネスカー)になる原因
クレーター(アクネスカー)のようなニキビ跡ができるのは、ニキビによる炎症が皮膚の奥の真皮層まで届いて、皮膚組織が破壊されてしまうためです。
中でも赤ニキビや化膿したニキビは皮膚の真皮層まで炎症が届きやすいので、クレーターのような凹みのある跡ができやすくなります。
色素沈着して茶色いシミになる原因
ニキビが治った後に色素沈着ができるのは、ニキビの炎症や化膿が周辺の毛細血管を破壊してしまうためです。
ニキビが炎症を起こしたり化膿したりすると、肌が細胞を守ろうとして大量のメラニン色素が生成されます。
そしてニキビの炎症が治まると、生成されたメラニンだけが肌に残り、色素沈着を起こすというメカニズムです。
ニキビ跡の種類と特徴
ニキビ跡は、皮膚の状態によって主に次の4種類に分けられます。
- 色素沈着
- クレーター型
- 赤み
- しこりやケロイド
それぞれの特徴と、ニキビ跡ができる原因について解説します。
色素沈着型のニキビ跡
ニキビの炎症が色素沈着して、シミのような茶色い跡になっている状態のことです。
色素沈着型のニキビ跡ができるのは、ニキビの炎症によってメラノサイトが刺激されるためです。
メラノサイトとは、メラニン色素を作る工場のような役割を果たします。
メラノサイトが刺激されてメラニンが過剰に生成されると、ニキビの赤みが茶色くなり色素沈着してしまうのです。
この色素沈着は、軽傷であればターンオーバーが行われて自然に消えていきます。
しかしながら、メラニン色素が真皮層にまで到達してしまうと自然に治すのが困難になってしまいます。
クレーター型のニキビ跡
クレーターとは、皮膚の表面が凹んで跡になってしまっている状態のことです。
ニキビが悪化して炎症や化膿が皮膚の真皮にまで到達すると、真皮の組織が壊され皮膚の表面が陥没してしまいます。
ニキビをつぶしたり、ニキビができたときに正しいケアをせず長期間放置すると、このようなニキビ跡が残ります。
そして、一度クレーターができてしまうと、自然に元に戻ることはほとんどありません。
赤みを帯びたニキビ跡
皮膚の下にある血管や筋肉が透けて、肌が赤く見えている状態のことです。
ニキビの炎症が残っていたり、炎症が起きている部分の皮膚が薄くなると、このような赤みが現れます。
赤みを帯びたニキビ跡も、通常はターンオーバーにより自然に消えていきます。
ただし、ニキビの炎症が強かったり同じ場所に繰り返しニキビができていると、毛細血管が増えたり傷ついたりしてしまいます。
このような状態になると、さらに赤みが増したり赤紫色に変わってしまい、自然に治すのが困難になります。
しこりやケロイドを伴うニキビ跡
ケロイドとは、皮膚にできた傷が治るときに現れるできもののことです。しこりが残ったり、皮膚が赤く盛り上がるのが特徴のニキビ跡です。
ニキビの炎症が長期間にわたると、炎症により壊れてしまった組織を修復するためコラーゲンが過剰に作られます。これが、ケロイドになる原因です。
ケロイドになると、自然に治ることはほとんどありません。ステロイドを注射するなど、他のニキビ跡とは異なる特殊な治療が必要になります。
自宅でできるニキビ跡ケア方法
赤みを帯びたニキビ跡などは、症状によっては自然に消えていきます。
ただし、間違ったケアをしてしまうと、治るどころか悪化してしまうことさえあるのです。
この章では、スキンケアや洗顔、市販薬など、自宅でできるケア方法について解説します。
日々のスキンケアの重要性
化粧水や美容液などのスキンケアアイテムには、赤みや色素沈着などのニキビ跡そのものを薄くする効果はありません。
ですが、日々のスキンケアによって、ニキビ跡を悪化させないようにすることが大切です。
ニキビ跡が治りやすい肌状態にするための、スキンケアのポイントは次のとおりです。
十分に保湿する
十分な保湿を行わず肌が乾燥すると、ターンオーバーが乱れてニキビ跡の治りが遅くなってしまいます。
ニキビ跡の赤みや色素沈着は、ターンオーバーにより徐々に薄くなっていきます。
きちんと保湿をしてターンオーバーを正常に保つことを心がけましょう。
ニキビケア
繰り返しニキビができてしまうと、クレーターなどの自然治癒が難しいニキビ跡ができやすくなります。
そうならないためにも、新たなニキビを作らないことが大切です。
紫外線対策
特に色素沈着のニキビ跡の場合はメラノサイトが活性化しているため、紫外線を浴びるとニキビ跡が濃くなります。
紫外線がメラノサイトをさらに活性化させてしまうためです。
さらに、紫外線により肌のバリア機能が低下するので、ニキビができやすくもなります。
新たなニキビを作らないためにも、紫外線対策は徹底しましょう。
正しい洗顔法で肌に優しいケアを
ニキビやニキビ跡があるときは、肌への刺激を最小限にして洗顔することを心がけてください。
ニキビ・ニキビ跡が気になるときの洗顔のポイントは、次のとおりです。
- 洗顔前はクレンジングを使ってきちんとメイクを落とす
- 洗顔料はよく泡立てて、弾力のある泡をつくる
- 指が肌に触れないように優しく洗う
- 34℃~36℃程度のぬるま湯でしっかりとすすぐ
- 洗い終わったら、清潔なタオルでこすらないように拭く
また、洗顔の回数が多くても、ニキビやニキビ跡を悪化させてしまうことがあります。
肌が乾燥すると、余計に皮脂が多く出てしまいまうためです。
洗顔料を使った洗顔は、基本朝と夜の2回にするのがおすすめです。
ニキビ跡に効く市販薬とは
ニキビ跡の赤みや色素沈着には、炎症やメラニンの生成を抑えたり、肌のターンオーバーをサポートするような成分が入っている薬が効果的です。
医薬品に比べると効果はゆるやかですが、市販薬でおすすめの塗り薬と飲み薬を紹介します。
【塗り薬】ニキビ跡に効く市販薬
- アットノン(小林製薬)
- ケシミンクリームEX(小林製薬)
- メラノCC(ロート製薬)
【飲み薬】ニキビ跡に効く市販薬
- トランシーノ ホワイトCクリア(第一三共ヘルスケア)
- ハイチオールC ホワイティア(エスエス製薬)
- ホワイティフル(ミナカラ)
専門クリニックのニキビ跡治療方法
ニキビが治ってから6ヶ月経ってもニキビ跡が薄くならなければ、自然治癒しない可能性があります。
ニキビ跡が悪化する前に、専門のクリニックで受診することを検討してみてください。
ニキビ跡の種類別の治療方法は、以下のとおりです。
色素沈着 | 赤み | クレーター | |
---|---|---|---|
レーザー 治療 |
○ | ○ | ○ |
ピーリング | ○ | ○ | × |
注射・点滴 | ○ | ○ | × |
それぞれの治療方法について、詳しく解説します。
レーザー治療の種類と効果
レーザーを用いたニキビ跡治療でおすすめなのは、CO2フラクショナルレーザーです。
フラクショナルレーザーとは、レーザーを照射して皮膚に無数の小さな穴を開ける施術です。
穴を開けることにより自然治癒力が高まるため、徐々に肌が再生していきます。
クレーター型のニキビ跡で悩んでいる人は、このCO2フラクショナルレーザーが適しているでしょう。
【効果が期待できるニキビ跡の種類】
- 色素沈着型のニキビ跡
- 赤みを帯びたニキビ跡
- クレーター型のニキビ跡
ピーリングとは?ニキビ跡改善へのアプローチ
クリニックで受けられるケミカルピーリングは、酸性の薬剤を顔全体に塗布して肌の表面にある古い角質を取り除く施術です。
フラクショナルレーザーとは、レーザーを照射して皮膚に無数の小さな穴を開ける施術です。
ターンオーバーを整えて肌を正常な状態に戻してくれるので、ニキビ跡の赤みや色素沈着の改善が期待できます。
【効果が期待できるニキビ跡の種類】
- 色素沈着型のニキビ跡
- 赤みを帯びたニキビ跡
注射による治療法と注意点
ニキビ跡の改善には、ビタミンC注射や高濃度ビタミン点滴、白玉注射(点滴)などがおすすめです。
これらの注射(点滴)には、ニキビ跡の原因となるメラニン色素を抑制したりメラニンの排出を促す成分が含まれています。
注射や点滴は、レーザーやピーリングと併用することで、より高い効果が期待できます。
【効果が期待できるニキビ跡の種類】
- 色素沈着型のニキビ跡
- 赤みを帯びたニキビ跡
予防法も重要!再発しないためには
ニキビができないのが理想ではありますが、ニキビができたとしても、初期段階で炎症を抑えられれば跡が残りにくくなります。
つまり、正しいニキビケアにより、ニキビ跡を予防することができるということです。
ニキビケアと聞くと化粧品や洗顔などを想像する人が多いと思いますが、実は内側からのアプローチ方法もたくさんあります。
ここからは、ニキビができにくい体質になるための生活習慣や食習慣、予防法について解説します。
生活習慣の見直しポイント
普段の生活習慣の中でも、ニキビの原因となる行動はたくさんあります。
ニキビの予防は、ニキビ跡を早く治すことにもつながります。
この機会に、ニキビができやすくなる生活習慣を見直してみてください。
肌への刺激を減らす
外部から肌に刺激を与えることで、ニキビやニキビ跡ができやすくなります。
そのため、肌への刺激は最小限になるように心がけましょう。
例えば、肌が直接触れる枕カバーやシーツは常に清潔な状態に保ってください。タオルやカミソリなども同様です。
頻繁に手で顔を触ったり、髪の毛が顔に触れることもニキビができる原因となるため注意しましょう。
ストレスを溜めない
ストレスが溜まると、自律神経が乱れてバリア機能(免疫力)が弱まります。
さらに、ホルモンバランスが崩れることで男性ホルモンが優位になり、皮脂の分泌量が増えたり肌の角質が硬くなってしまいます。
自律神経・ホルモンバランスの2つの原因により、ニキビを発症しやすくなってしまうのです。
実は、20代以降の大人ニキビはストレスが大きく影響していると言われています。
治ってはまたできるニキビに悩んでいる人は、ストレスを軽減させる工夫をしてみてください。
食事とニキビの関係性
食べ物や栄養バランスの偏りも、ニキビができる原因のひとつです。肌を健康に保つための栄養が不足したり肌に悪いものを食べると、ニキビができやすくなってしまうのです。
では、どのような食べ物を選べばいいのでしょうか。ニキビに良い食べ物と良くない食べ物をそれぞれ紹介します。
ニキビができやすくなる食べ物
脂質を多く含む食べ物は、皮脂の過剰分泌につながります。
ニキビができやすいという人は、以下のような食べ物はなるべく避けた方がよいでしょう。
- ジャンクフード
- 肉の脂身
- 洋菓子 など
ニキビ跡に関するQ&A
ここからは、ニキビ跡の治し方について、よくある疑問に回答します。
同じような疑問を持っている人も多いと思いますので、ぜひ参考にしてください。
- ニキビ跡は自然に消えますか?
-
赤みだけのニキビ跡であれば、普通は数ヶ月程度で自然に消えていきます。
しかしながら、クレーターなどの凹凸のあるニキビ跡の場合、自然に消えることはほとんどありません。
凹凸のあるニキビ跡ができてしまったら、早めにクリニックでの治療を行うことをおすすめします。 - ニキビ跡はどのくらいで治りますか?
-
赤みがあるようなニキビ跡の場合、通常は半年から1年程度で自然に消えていきます。
ただし、同じ場所に繰り返しニキビができていたり炎症が強い場合は、ニキビ跡も治りにくくなります。
ニキビ跡を長期間残さないためにも、早めにニキビやニキビ跡の治療を始めることをおすすめします。 - ニキビ跡の治療はどのタイミングで始めるのがいいですか?
-
治療を始めるタイミングは、早ければ早いほどいいでしょう。
ニキビの症状が進行するほどニキビ跡になりやすく、治りにくくなるからです。
ニキビができた初期段階で治療を始めれば、ニキビ跡が残りにくくなります。 - ニキビ跡の治療は、1回でも効果が出ますか?
-
症状によっては1回で効果を実感できるケースもありますが、基本的には複数回にわたって施術を受ける必要があります。
症状や治療方法によっても必要な期間や回数は異なるため、ニキビ跡が気になったらまずはクリニックで相談してみてください。
まとめ
この記事では、ニキビ跡の4つの種類とそれぞれの原因について解説しました。
ポイントは以下のとおりです。
- クレーターの原因は、ニキビの炎症が皮膚組織を破壊すること
- 色素沈着の原因は、メラニン色素が大量に生成されること
- ニキビ跡は軽傷であれば自然治癒する
- クレーターになってしまうと自然には治らない
- ニキビ跡には、レーザー、ピーリング、注射(点滴)治療が効果的
- ニキビの初期段階で炎症を抑えられればニキビ跡は残りにくい
- 生活習慣や食習慣を変えるだけでもニキビ跡を予防することができる
ニキビ跡の種類によって、適した治療方法は異なります。
ニキビ跡が悪化して後悔しないよう、早めに適切なケアを行うようにしましょう。