医療脱毛とレーザー種類の全知識
医療脱毛のレーザーとは
医療脱毛に利用するレーザーは、メラニン色素(黒い色素)に反応する性質を持っています。
このレーザーから発せられる熱で発毛細胞を破壊すると、脱毛効果が得られます。
ここからは、医療レーザー脱毛の基本原理と、照射方式の違いについて解説します。
レーザー脱毛の基本原理
脱毛レーザーで毛が生えなくなるのは、次のような原理が働くためです。
1. 医療脱毛のレーザーを肌の表面に照射すると、メラニン色素を持つ毛にピンポイントで反応する
2. レーザーがメラニン色素に反応すると、光エネルギーが熱に変わる
3. この熱が毛根にある発毛組織を破壊する
熱破壊式と蓄熱式の違い
医療脱毛の蓄熱式と熱破壊式は、どちらも発毛組織にダメージを与えるレーザー施術です。
何が違うのかと言うと、ターゲットにする場所が違います。
それぞれの方式にパワーの差はほとんどありません。
ただし、それぞれ得意な毛質が異なるので、自分の毛質に合った方式を選ぶことでより高い効果が得られやすくなります。
蓄熱式レーザーと熱破壊式レーザー、それぞれの照射ターゲットと脱毛の仕組みは次の通りです。
蓄熱式レーザーとは?
蓄熱式は「バルジ領域」をターゲットにして照射する脱毛方式です。
バルジ領域は毛乳頭に対して指令を出す器官のことで、発毛を促進させる働きを持っています。
このバルジ領域をレーザー照射で破壊することにより、発毛の指令が出されなくなるという仕組みです。
バルジ領域は毛穴の比較的浅い場所にあるため、低い出力で照射してもダメージを与えることが可能です。
何となく「蓄熱式は痛みが少ない!」というイメージを持っている人もいると思いますが、これには低出力の照射でも効果が得られやすいという根拠があるのです。
熱破壊式レーザーとは?
熱破壊式は「毛母細胞」と「毛乳頭」をターゲットにして照射する脱毛方式です。
毛母細胞は毛を作り出す細胞で、毛乳頭には毛母細胞に栄養を受け渡す働きがあります。
これらの組織に直接ダメージを与えて毛を生えにくくさせるのが、熱破壊式の仕組みです。
熱破壊式の場合、レーザー照射後の数週間でムダ毛がスルスルと抜け落ちるので、効果がわかりやすいというメリットがあります。
ですが、毛母細胞と毛乳頭は毛穴の最も深い場所にあるため、どうしても高い出力で照射する必要があります。
蓄熱式と比較すると痛みや肌への刺激が強くなる傾向があるので、その点を考慮して選ぶようにしましょう。
各レーザー脱毛機器の種類と特徴
蓄熱式レーザーと熱破壊式レーザー、それぞれの脱毛機器の肌質・毛質別の効果について一覧にまとめました。
【蓄熱式】レーザー脱毛機器一覧と比較表
機器名 | 色黒肌・ 日焼け肌 |
敏感肌 | 産毛 | 剛毛 | 痛み |
---|---|---|---|---|---|
メディオスターNeXT PRO ※熱破壊式に切替可 |
◯ | ◯ | ◎ | ◯ | 弱 |
メディオスターモノリス ※熱破壊式に切替可 |
◯ | ◯ | ◎ | ◯ | 弱 |
ソプラノアイスプラチナム | ◯ | △ | ◎ | ◯ | 弱 |
ソプラノチタニウム ※熱破壊式に切替可 |
◯ | △ | ◎ | ◯ | 弱 |
ラシャ ※熱破壊式に切替可 |
◯ | ◯ | ◎ | ◯ | 弱 |
クリスタルプロ ※熱破壊式に切替可 |
◯ | ◯ | ◎ | ◯ | 弱 |
【熱破壊式】レーザー脱毛機器一覧と比較表
機器名(レーザーの種類) | 色黒肌・ 日焼け肌 |
敏感肌 | 産毛 | 剛毛 | 痛み |
---|---|---|---|---|---|
ジェントルマックスプロ プラス |
◯ | △ | ◯ | ◎ | 強 |
ジェントルマックスプロ | ◯ | ◯ | ◎ | ◯ | 強 |
ジェントルレーズプロ | ✕ | △ | ◯ | ◎ | 強 |
スプレンダーX | ◯ | △ | ◎ | ◯ | 部位による |
ライトシェアデュエット | ✕ | ◯ | ◯ | ◯ | 部位による |
肌質・毛質別おすすめレーザー
医療レーザー脱毛では、主に次の3種類のレーザーが使われています。
- アレキサンドライトレーザー(熱破壊式)
- ダイオードレーザー(蓄熱式・熱破壊式)
- YAGレーザー(熱破壊式)
レーザーの波長が最も短いのがアレキサンドライトレーザーで、最も長いのがYAGレーザー(ヤグレーザー)、その中間がダイオードレーザーです。
ここからは、高い効果が得られやすいレーザーの種類を肌質・毛質別に紹介します。
色黒肌に最適なレーザー種類
色黒肌への照射に適しているのは、以下のレーザーです。
- YAGレーザー(ヤグレーザー)
- ダイオードレーザー
YAGレーザー(ヤグレーザー)
YAGレーザーは、肌表面のメラニン色素には反応しにくいという性質を持っているため、色黒肌や日焼け肌、色素沈着がある部分などにも照射することができます。
ダイオードレーザー
ダイオードレーザーは、YAGレーザーほどではないものの、アレキサンドライトレーザーに比べるとメラニン色素に吸収されにくい性質を持っています。
色が少し暗めの肌や軽い日焼けであれば、ダイオードレーザーでも照射が可能です。
敏感肌に適した脱毛レーザー
敏感肌に適しているのは、ダイオードレーザーです。
ダイオードレーザーは、肌への負担が少なく敏感肌やアトピー肌の人でも受けやすいのが特徴のレーザーです。
また、痛みも抑えられるので、痛みが心配な人にもおすすめです。
産毛に効果的なレーザー選び
以下のような肌に刺激を与える行動は控えるようにしましょう。
- ダイオードレーザー
- YAGレーザー(ヤグレーザー)
ダイオードレーザー
ダイオードレーザーは、産毛に最も適したレーザーです。
アレキサンドライトレーザーとYAGレーザーの中間にあたる波長を持つダイオードレーザーは、産毛から剛毛まで幅広い毛質への対応が可能です。
YAGレーザー(ヤグレーザー)
YAGレーザーは、産毛への効果が期待できるレーザーです。
ただし、痛みが強く照射範囲も狭いため、ワキやVIOなどの部分的な脱毛に使われることがほとんどです。
痛みを抑える最新脱毛レーザー
「医療脱毛を受けたいけど痛みが心配...」
このような悩みを持っている人も少なくないと思います。
そんな人におすすめしたいのが「メディオスターモノリス」です。
「メディオスターモノリス」は、比較的痛みが少ないダイオードレーザーの脱毛機器です。
一つの機器で蓄熱式と熱破壊式を切り替えることができるので、特に痛みに弱い人は蓄熱式で照射するのが良いでしょう。
さらに、他にも痛みを低減させる技術が取り入れられています。
痛み低減技術とは
「メディオスターモノリス」には、360度全方向型冷却システムが搭載されています。
これは強力な冷却システムで、冷却された金属パネルがレーザーによって発生する熱から肌を守ってくれます。
レーザー照射の前・同時・後の3段階で肌を冷やすことにより、痛みややけど、肌トラブルのリスクを抑えることができるのです。
クリニック選びで注意すべき点
医療脱毛を受ける際は、脱毛機器の種類を見てクリニックを選ぶようにしましょう。
日焼け肌や敏感肌だったり、痛みに弱い人、剛毛の人、産毛もなくしたいという人にとっては、特にクリニック選びが重要になります。
機器の多さで選ぶ
自分の毛質や肌質に合った施術を受けたいと考えている人は、複数の脱毛機器を導入しているクリニックを選ぶことをおすすめします。
なぜかと言うと、脱毛機器によって得意な毛質や肌質、できる施術が異なるためです。
1台2役の機器を選ぶ
効率よく脱毛したいと考えている人は、1台2役の脱毛機器を導入しているクリニックがおすすめです。
例えば「メディオスターモノリス」や「メディオスターNext Pro」は、蓄熱式と熱破壊式の両方に対応している脱毛機器です。
これらの機器の場合、部位によって適した照射方式に切り替えながら施術を受けることができます。
レーザー機器に関するQ&A
医療脱毛のレーザー機器に関する、よくある質問に回答します。
- レーザー脱毛をすれば毛は永久に生えてこなくなりますか?
-
医療レーザー脱毛の場合、発毛組織を破壊したムダ毛に関しては基本的には生えてくることはありません。
ただし、すべてのムダ毛が永久に生えてこなくなるわけではありません。発毛組織を100%破壊することは不可能だからです。 - レーザー脱毛は1回でも効果がありますか?
-
1回の施術でも、脱毛効果はあります。ただし、1回ですべてのムダ毛がなくなるわけではありません。
ある程度のムダ毛をなくすには、毛周期(毛が生え変わるサイクル)に合わせてレーザー照射を行う必要があります。
個人差はありますが、合計8回程度で満足する人が多いです。 - 家庭用の脱毛器でも回数を重ねれば毛はなくなりますか?
-
家庭用脱毛器の場合、何回照射しても永久脱毛することはできません。
家庭用脱毛器やエステサロンの脱毛器には、一時的に毛が生えにくくなる効果しかありません。照射をやめるとすぐに、毛が生えてくるようになるということです。
家庭用脱毛器は特に、やけどなどのリスクを最小限にするため、かなり弱い照射パワーで作られています。
そのため、高い効果は期待できないと考えた方が良いでしょう。 - 男性にはどの脱毛レーザーがおすすめですか?
-
男性は太くて濃い毛が生えている場合が多いので、アレキサンドライトレーザーが適しています。
髭などの部分的な脱毛であれば、ヤグレーザーでも高い効果が期待できます。
ただし、どちらも痛みが強いというデメリットがあります。痛みに弱い人は、ダイオードレーザーを選ぶのも良いでしょう。
まとめ
この記事では、熱破壊式と蓄熱式の違いと、それぞれの脱毛レーザーの特徴について毛質・肌質別に解説しました。
ポイントは次の通りです。
- 蓄熱式と熱破壊式の違いは、照射のターゲットにする場所
- 熱破壊式に比べて蓄熱式の方が、痛みや肌への負担が少ない
- 色黒肌や日焼け肌にも照射できるのは、ヤグレーザー
- 敏感肌の人は、ダイオードレーザー
- 産毛に効果的なのは、ダイオードレーザー
- 医療脱毛を受ける際は、導入している機器が多いクリニックを選ぶと良い
医療脱毛レーザーには、いくつかの照射方式やレーザーの種類があります。
どれが一番良い・悪いということではなく、それぞれ得意とする肌質や毛質があるのです。
これを知らずになんとなくで脱毛機器を選んでしまうと、思うような効果が得られない可能性があります。
脱毛で失敗しないためにも、レーザーの正しい知識を持って、信頼できるクリニックに通うようにしましょう。